ベストテンのランキングは売上・有線・ラジオ・ハガキの4要素から決まります(詳しくはこちら)。まず各要素の特徴を簡単に説明しますと、
- 売上…
CDの売上。歌手自体の人気+楽曲人気だが、無名であっても90年代に入りTVドラマやCMなどに使われるとバカ売れし(いわゆるタイアップ現象)、ランキング上位を占めるようになる。オリコンは数値(売上枚数)まで公表しており一定の透明性が認められ、また、シングル1枚1000円前後と、4要素の中で断トツに単価が高いため、ヒット曲の指標として最も信頼されていた。 - 有線…
有線放送への電話リクエスト数。演歌が強いことから分かるように、高齢者の利用も多く、自宅以外では居酒屋、スナック、パチンコ屋、本屋、喫茶店など様々な店舗でも受信放送している。リクエスト曲がかかるチャンネルは演歌、ポップスなどジャンルで分かれており、当時街中のお店は邦楽ポップスが大半で、街に出れば自然と耳に入り曲を覚えてしまう効果があるため有線からヒットが出ることも珍しくなかった。4要素の中で最も独自性が高い。 - ラジオ…
4要素中一番内訳が不明なもの。ラジオ局に寄せられる電話やハガキリクエスト数のはずだが、そこに各ラジオ局が持っていた独自集計のベストテン的ランキング番組の順位が足されているようで、売上の影響を多分に受けており、2週遅れのCD売上5割、リクエスト5割といった感覚がある。 - ハガキ…
番組に寄せられるリクエストハガキ。ジャニーズ系をはじめ熱狂的な女性ファンが多い歌手が強い。
さて、今回は最も独自性の高い有線を取り上げたいと思います。表をご覧ください。
まず演歌・歌謡曲勢。「総合順位との差」を見れば明らかですが、とにかく有線に強い。有線以外弱いとも言えますがベスト50位内では、4位香西かおり(総合69位)、9位高山厳(総合118位)、11位藤あや子(総合48位)、12位堀内孝雄(総合52位)、19位五木ひろし(総合56位)、21位伍代夏子(総合87位)、32位桂銀淑(総合185位)、34位大月みやこ(総合196位)、以上計8組も入っています。ヒットの波に乗ると3年越しにもなる演歌で、地味に下支えしているのが有線なのは間違いありませんね。
それ以外のポップス勢に傾向はあったでしょうか。
総合順位との差がプラスになる(=有線に強い)のは、15位長渕剛、29位矢沢永吉、43位松田聖子、44位松任谷由実ら、カリスマ性の高い歌手が目立ちます。それから2位工藤静香、3位TUBE、26位中森明菜、39位アン・ルイス、47位吉川晃司ら、変に洗練され過ぎず、歌謡曲の匂いを残していることも大事かなと。それら含め、やはり演歌ほどではなくてもファンの年齢層が若年層に集中していないことが一番重要ではないでしょうか。マイナスになった歌手もベスト50位内に入っているわけですから十分頑張っていますけれどもね。ちなみに総合50位内にいながら有線では70位以下になった「有線弱い組」は、139位光GENJI(総合6位)、73位LINDBERG(総合12位)、135位SMAP(総合19位)、197位TMN(総合25位)、132位渡辺美里(総合29位)、88位永井真理子(総合31位)、115位大江千里(総合38位)、162位THE ALFEE(42位)、圏外CoCo(総合43位)、217位access(総合47位)、という結果に。THE ALFEE以外は10代20代のファンが9割を占めるであろう面子で、年齢層説の裏付けが取れた感じですね。
他の3要素が若者重視のランキングですから、有線という高齢層を意識した1要素があることは、たとえ配点1割であっても総合ランキング作成において非常に大事なことだと思います。
断トツ1位のB’zについては次回の曲別ランキングから考察したいと思います。