9999点獲得曲④Dear Friend

90年代前半で最高得点の9999点を達成した曲を紹介しています。4曲目は「Dear Friend / 中森明菜」です。1990年7月17日発売、8月2日放送回で初登場1位を獲得し、そのまま6週連続1位を達成、そのうち満点は3週目でした。ポイントは何といってもハガキです。売上・有線・ラジオの1位は常連の彼女ですが、女性歌手がハガキで1位になるのは難しく、本家ベストテンでは12年の歴史の中で「謝肉祭 / 山口百恵」の1週、「菊池桃子 / 夏色片想い」の2週、計2組3週だけのようで、全盛期の明菜も聖子もハガキ1位はありませんでした。この女性ハガキ1位、90年代前半編では6曲9週あり(また改めて書きたいと思います)、そのうち3週が今作でした。

さて、1年ぶりの新曲ということで、売上だけ見ても前作「LIAR」の2倍となり大ヒット、満点の大記録を達成し、さらに曲のクオリティが低いわけではないのに、残念ながら後世に語り継がれる曲になっていないのは何故か。本家ベストテン時代は女王として別格だった彼女ですが、前年に起こした自殺未遂騒動により取り巻く環境が一変。そんな中での復帰作で、暗い雰囲気を出さないよう一連の大ヒットシングル群とは路線を変え、珍しくメジャー調、カラリとした西洋の海岸をイメージしたようなアレンジだったことで浮いた存在になっているのです。しかしながら当時のインパクトは絶大。初披露したライバル番組・夜ヒットのニース衛星生中継では、素直に「復帰おめでとう、元気で良かった」と涙ながらにTVを見ましたから。歌そのものよりも、というと言い過ぎですが、帰ってきてくれた事実だけで良かったのです。

今作のあと、彼女の本領発揮とも言える曲調で「水に挿した花」「二人静」と連続ヒットし復帰から1年間は順調でした。女王完全復活かと思いきや、そうは問屋が卸さないのが芸能界。事務所やスタッフとの確執だけでなく彼女自身の問題もあったのでしょうが、プロジェクトが停滞し新曲が2年出せない状態に。やっと出せた新曲「Everlasting Love」はシングルとしては難解すぎてシーン復帰とはならずでした。実はこのとき「愛撫」をシングルにする計画だったそうですが、なぜ頓挫したのでしょうかね。残念でなりません。

あれから復帰と休養を繰り返している30年間で、復帰待望論がおさまらない歌手の筆頭であり続ける彼女。人生を削りながら歌うその姿は子供心に響くものがありました。テレビに出たり大々的に活動しなくても、コンサートやディナーショーでずっと応援しているファンに向けてだけ歌ってくれたら、とも思いますが、そんな事よりも、とにかくご本人が楽しく生きていてくれたらと、いちライトファンとして願います。