有線に続いてハガキについても考えます。本家ベストテン12年の歴史では初期の配点比率が4割という、とんでもないことになっていたのですが、やはり組織票が目立つようになり比率を見直す羽目に。最後の3年(87~89年)は2割に落ち着きました。この2割というのが絶妙なサジ加減だと、新たに5年分のランキングを作成していて感じました。ゴールデン帯の1時間テレビ番組ですから、積極的に出演してくれる歌手に少しでも上位に入ってもらいたいと思う制作側と、応援している歌手に少しでも上位に入ってもらいたいファン、その両者の思惑が一致して番組が作られていたわけです。
ハガキについては4要素の中で唯一自作したランキングですが、本家ベストテン最後の3年間ハガキランキングから傾向を読み取り作成しています。ただしハガキが無駄に強いせいで長期居座るのは良くないと考えたため、一部例外を除き長くても10週前後で週間10位以下に落とすようにしました。その結果1曲が長く売れるよりもコンスタントに曲を出し続けた歌手の方が5年間ランキング上位に来ています。5,000pt超えの断トツ1位光GENJIの場合、年4枚シングルを出すサイクルが定着しており、5年で20曲も。2位SMAPの場合、91年9月デビューなので実質3年間ですがさらにハイペースで14曲。3位工藤静香は年3枚サイクルで5年15曲。ハガキ率でみてみると更に顕著ですが、14位までが40%を超えており、その半数がジャニーズでした。ribbon、酒井法子、高橋由美子の女性アイドルは売上1週目に10位前後がやっとであり、総合で10位内に入れるためファンがハガキを頑張るという努力の賜物です。これは本家ベストテン時代に島田奈美が得意としていた手法であり、90年代女性アイドルとそのファンたちも先輩アイドルのやり口を見事に踏襲したわけです。この一連の流れを我々は「島田奈美戦法」と呼びたいと思います。つづく