4要素別考察 ハガキ②90年代女性アイドル

前回(4要素別考察 ハガキ①歌手別)からのつづきです。90年代前半の音楽業界で最も苦戦を強いられたのが女性アイドルでした。工藤静香・Winkは80年代の勢いを微減しながら継続、中山美穂・小泉今日子はドラマ主題歌で盛り返しを見せ、松田聖子・中森明菜はそれぞれのペースで別次元へ、というのが当時の大まかな勢力図でしたが、各々ハガキだけに頼らずとも数週間ランクインできるパワーがありました。しかし、それ以外の女性アイドルは初登場週の売上順位にハガキリクエストのピークを持っていかなければランクインが難しくなったのです。以下表は初登場週に10位内にランクインし、翌週以降は11位以下となった女性アイドル曲の一覧です。

前コラムで定義した「島田奈美戦法」が成功したといえるものが9組25曲ありましたが、CoCo・ソロ・ribbonの乙女塾組で14曲と半数以上を占めています。この時代のアイドルらしいアイドルといえば彼女たちでしたね。固定ファンの数や熱狂度から考えて、ベストテンにランクインさせるためにファンもハガキを頑張り、結果を残したのは間違いないです。CoCoは尾木プロ、ribbonは田辺エージェンシーと何気に事務所も強いですしね。酒井法子・田村英里子・中嶋美智代のサンミュージック組も3組8曲という結果に。老舗アイドル事務所として、時代の流れに最後まで抗った姿勢を評価するべきでしょう。観月ありさは「伝説の少女」が4週、「エデンの都市」が3週、「TOO SHY SHY BOY」が6週ランクインしており、上記2曲はヒットしなかった部類になるため、並べて語るのは違う気もしますから今回言及しません。

さて、ハガキを頑張って総合10入りした曲を紹介しましたが、さらにその上、ハガキで1位を獲った女性アイドルはいたのでしょうか?以下表をご覧ください。

これはアイドルに限らず女性歌手すべてにおいてのものですが6曲9週ありました。当然ヒットした曲ばかりですが、それ以上に必要なのはタイミングです。ジャニーズはじめハガキに強い男性アーティストがいない時期でないと1位を獲れませんので。それでもジャニーズ勢、80年代は後半だけでみても田原俊彦・近藤真彦・少年隊・光GENJI・男闘呼組ら常に5、6組が入れ替わりで新曲を出しており、さらにチェッカーズ・アルフィーらも加わり、女性歌手が食い込む余地がない状態でした。しかし90年代に入りそれらも勢いを失っていた時代でもありましたので、5年間256週のうち9週ではありますが、間隙を縫って1位を獲ったこの6曲は紹介に値すると考えます。